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最高裁判所第三小法廷 昭和28年(あ)3652号 決定

本籍

岡山県吉備郡真備町大字妹四〇六七番地

住居

笠岡市笠岡四九二三番地の三

会社員

武本隆司

明治三九年一二月三一日生

右業務上横領、有印私文書偽造行使、有価証券偽造行使被告事件について昭和二八年六月二五日広島高等裁判所岡山支部の言渡した判決に対し被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり決定する。

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人藤井稔同池内三郎の各上告趣意は、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない(被告人の一審判決判示第一及び第二(一)の行為が業務上横領罪を構成し背任罪と認むべきものでないことは、原判決の判示するとおりである。判示第二(二)の小林五六名義は実在人藤本五一が預金に際して使用した氏名であるから、所論のように虚無人とみるべきではない。所論第二(一)の犯罪事実は第一の犯罪事実と同種の行為であるから、第一の犯罪に関する原判決の説明は第二の犯罪についても判断した趣旨と解されるので、原判決には所論のような判断遺脱はない)。

よつて同四一四条、三八六条一項三号、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 島保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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